今日で「平成」は最後です。

これ書き始めて、平成の残された時間はあと1時間30分くらい。

 

五泉の絹織物にとって平成はどういう時代であったか、振り返ってみると、

とても厳しいものであったとしか言いようがありません。

 

以下表をご覧ください。

 

平成元年は1989年です。2007年までのデータしか持ち合わせていなかったのですが、

結論からいうと、1989年から2019年の間で機屋(組合員数)の数が、16社から3社となりました。

 

五泉の機屋は、家内工業ではなく1社が企業体として運営しているので、1社やめるだけでも大きいです。

 

私が入社した2013年。その時は9社ありました。

気づけば1社やめ。

翌年、気づけばまた1社やめ。

そして翌年、また1社やめ。

2018年時点でも6社ありました。

そして、まさかまさかの1年で3社やめることに。

残り、当社含めて3社。。。。

もしかすると、五泉の絹織物自体が知られていないから、3社でも「そんなにあるんですね」という人がいるかもしれませんが・・・。

 

そもそもこれは何故か?という話なのですが、まぁこういう問題は別に五泉の絹織物だけのことではないでしょう。生産がどんどん少なくなる斜陽産業にあっては、当たり前のことなのかもしれません。

1.儲からないから新しい人を入れられない。

2.後継者がいない。

3.職人も高齢化。

4.ある時にもういいか、と思う。

 

「4のある時」がいつか、ということもありますが、職人さんがもう辞めるといったからということもあれば、土地建物も含めて精算するよい話があった、などもあるでしょう。

判断はいろいろです。それをあーだこーだ言うことはできません。

 

ただ、現実起きていることは受け入れなければいけないので、五泉の絹織物の価値はそういうものなのだろう。ということです。

 

でも、寂しいですよね。

今テレビを見ていても、伝統的な和服を着た儀式は多数あり、きっと五泉の絹織物もいろんな所で使われていることでしょう。

日本の第一正装である黒紋付の羽織の生地は、ほぼ五泉といえるでしょう(黒染め屋さんに聞いたら五泉ものしか生地は染めたことがないと言っていました)

 

 

残り3社で日本の伝統衣装の一旦を担っていくことになります。

 

自分たちの会社のことだけいえば、他の会社の品物が回ってきて、注文は増えるでしょう。というか増えています。

さすがに3社もほぼ近いタイミングでやめれば、需要と供給のバランスがくずれます。

だから、あれ織れますか?これ織れますか?今までの生地が仕入れられなくて困っています。

電話も来ますし、既存の問屋さんからも相談をうけます。

 

それに応えるのに、増員もしました。

やめた機屋の織り子さんを採用し、生産量を上げています。

 

需要が少なくなってきているとはいえ、供給できなければ産地の信頼を失うことになる。

そのためには、この混乱期をなんとか乗り越えねばならない、のです。

 

ただ、心配なのは、

  1. 一時的な需要過多の状態になったが、これはいつまで続くのか?
  2. 五泉の精練場の問題

 

1は人員補充はしたは良いけれど、あっという間にバランスが取れて、前のように落ち着いてしまえば、結局元通り。それに眼の前の生産をなんとかすることだけ考えていると、若返りというテーマが疎かになり、破綻。

 

2については本当に心配です。五泉のシルクはおもに生糸で仕入れ、織り、精練加工をして、美白の反物になります。

精練加工というのは、シルクの糸のセリシンという外側のタンパク質だけを除去して、白く、柔らかくすることです。

各産地でこの精練をする工場があることを、「地練(じねり)」といい、自分たちの品物にあわせた精練をしてくれるので、とてもよい仕上がりになります。他の地域の精練場にしてもらったこともありますが、五泉の重めの生地は明らかに仕上がりが違います。

すなわち、五泉絹織物の生命線です。(きっぱり)

 

この五泉精練。施設は全盛期の設備でやっています。その維持も大変。

もちろん、こちらにもこの道の職人さんがいます。

3社も同時にやめたら、ざっとこんなことが想定もされます。

 

  1. 生産量がすくなくなる。
  2. 精練場の収益である「精練加工」の売上は少なくなり、経営を圧迫。
  3. 精練料の値上げ
  4. 反物の値段上昇
  5. 最終的にきもの等の上代に反映される可能性があり、ものが動かなくなる。
  6. 高いからと・・海外などでの生産に切り替えられる可能性も。

 

令和の時代はどうなるでしょう?

というか、どうしていきたいか、目的や目標をもち、主体的にすすめていく他ありません。

 

伝統的な和装としての五泉絹織物は、伝統を守るためにどうやっていくべきなのか?産地一体となって考えねばならず、

私たちが取り組んでいる新しい五泉の絹織物(シルクストール「絽紗」や、シルクのベビー用品「しろずきんちゃん」など)は、広報としての位置づけも担い、五泉の絹織物の存在を知って頂き、手に触れていただくことで、五泉の技術力やシルクの魅力を感じてもらいたい、と思っています。

 

そして、何より五泉の絹織物の未来を一緒に作っていきたい、という人を採用していかねばなりません。具体的には、工場の職人であったり、新事業としての役割であったり。。。もし、ご関心あるかたはお問合せよりご連絡ください。その時々により状況が違うと思いますが、ご返信させていただきます。

 

平成ありがとうございました。

 

 

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

横野弘征

㈱横正機業場(YOKOSHO)専務取締役。新潟県五泉市で絹織物白生地製造を行っています。2013年に36歳でシステムエンジニアから兄と共に家業を継承するため転職。『伝統継承と革新への挑戦』がテーマ。製品(素材)の素晴らしさはもちろん、「100年企業」として培ってきた歴史を支えた職人さんこそが最大の商品として魅力を発信していきます。経済産業省認定 ITストラテジスト取得。