糸って色々。扱い方も色々。

今回は糸のご紹介。
それも「仕入れ時の糸の形態(状態)」について。

 

「生糸(きいと)」

 

絹の原糸の(撚りをかけた)状態。絹と言えども固くてごわごわしています。

当社の多くはこの生糸を仕入れています。

これが全く高級感ある柔らかい絹織物になるとは思えませんでした。

ただ、このままだと強度的な問題や扱いやすさに

難がでやすいのでコーチング(油による下漬け)したり、

糊付けしたり、合糸したり、

濡れ緯で糸を湿らせたり、・・糸を変化させていきます。

 

「先練りの糸(さきねり)」

 

絹の生糸の表層に付着しているセリシンを

取り除く工程を「精錬」と言います。

精練が完了することで、絹独特の白度と艶が出てきます。

当社の多くの白生地は生機を精錬し光沢を出しますが、

先に精錬した糸も使います。

生糸と違い、ふわふわーとすごく柔らかく、

扱い方がまったく異なります。職人さんいわく、

柔らかい糸を扱う事ほど難しいとのこと。

やさしく、やわらかく、でもスピーディに・・・

中々できることではありません。

 

「先染めの糸(さきぞめ)」

 

先に染めを行った糸です。

多くの絹織物産地がありますが、五泉は白生地産地。

すなわち、精錬した後に染めます。

多種多様に染められた糸を使い柄を織りこんでいく等はしていません。

先染め織物は、当社でもわずかしか扱いません。

(扱いを増やす予定もありません)

私も入社後、黒い糸をさわりましたが、まったく糸が見えない・・・。

工場内は白い糸を見やすくするために

多くの場所に黒いバックパネルが

はってあったりするので、なおさらです。

紗の生地1つとっても先練りの糸を経糸や緯糸に

使ってみたりするだけで、できあがりの風合いが変わってきます。

もちろん、平糸や撚糸でも全く違いますし、本数や打ち込み数・・。

最近は純国産の取り組みなどもあります。

新小石丸の糸なども昨年扱いました。

すなわち組み合わせはほぼ無限?。

よって理論上こんな風合いになるはずだ!とは簡単には言えず、

試行錯誤する中で様々な物が生み出す事ができるようです。

ある意味実験ですね。

大事なのは目的と継続だということが分かってきました。

決められたものだけ作っていれば楽なのですが、

それでは面白くないので色々とチャレンジしていきたいと思います。

 

写真は、先練の駒糸。

かせで入荷し糸繰りしますが、生糸と違い、綾を綺麗にださないと、まわってくれません。

糸繰り機も通常のものではなく、昔ながらの竹のもの。

回転数を落としやさしく扱います。

糸の扱いも、柔らかい状態、たゆんだ状態、糸が張った状態・・

色んな状態で扱い方を変えていく必要があるようですが、

私のような若輩者にはまだまだ状況に応じた対応は難しい・・・ですね。

 

ABOUTこの記事をかいた人

横野弘征

㈱横正機業場(YOKOSHO)専務取締役。新潟県五泉市で絹織物白生地製造を行っています。2013年に36歳でシステムエンジニアから兄と共に家業を継承するため転職。『伝統継承と革新への挑戦』がテーマ。製品(素材)の素晴らしさはもちろん、「100年企業」として培ってきた歴史を支えた職人さんこそが最大の商品として魅力を発信していきます。経済産業省認定 ITストラテジスト取得。