新潟県五泉市でキモノの生地を織っている会社が伝えたい 5つのこと 

このたび横正機業場は、キモノの紗-sha-、絽-ro- を薄く軽くしたストール向けの生地を開発しました。
今回はその生地の開発秘話というか、その生地に込めた想いを 5つにまとめ伝えたいと思います。

1.キモノをまとってほしい

横正が織る絹100%の白生地は、主に服飾の最高峰である法衣やキモノで使われています。
しかし、その需要は年々減り続け産地の継続も危うくなりつつあります。
そこで、培ってきた伝統の織り技術や心、良質の素材をもっと多くの方に知って頂きたい、身にまとい体験していただきたい、その想いからストールなどで使える薄く軽い素材へ挑戦しました。
それが、革新素材 紗-sha- 絽-ro- です。
キモノはすぐに手が届かなくても、ストールからなら・・。
少しでも身近な素材へ近づけ、そこでキモノの織の技術・心を知って頂き、結果として1人でもキモノをまとう人が増えてほしい、そんな想いを込めています。

2.こだわったのはキモノの「美」や「品」

生地の薄さ軽さを追求するだけでなく、特に「美意識」「品」にこだわりました。
具体的には、光沢感やしっとり感、肌ざわり、織目の美しさ、耳の美しさ、透明感、ドレープ感・シャリ感などなどです。
とくに身にまとい色が重なりあい浮かび上がるモアレの美しさはまさにキモノの「2重紗」。
絽目の美しさは品があり、身も心も引き締まる思いです。
キモノはまとう人の内面の美しさを引き出すと言われています。
横正は一枚の薄い白い生地にもキモノ同様の「美しさ」を求めつづけています。

3.描くみらいは無限大

…絹の良さを最大限活かした気品あふれる生地、
…光沢を抑え落ち着いたしっとりした上品な生地、
…キモノでは使わないような楽しいボーダー柄、
…繊細すぎて手にとるのが怖いほどの薄く軽い生地、
横正の織りなす白生地の表現方法はバリエーションに富んでいます。
それに、まとう人やシーン、えがく色、つくる形が加わる。
のせるみらいは、無限にひろがっています。
是非、この伝統の息づかいを1枚の生地を通してお楽しみいただけたら嬉しく思います。

4.伝統を守るために、新しいことに挑戦する

革新素材と書きましたが、これの真意は世の中的な革新も少々あるかもしれませんが、当社の取組を強く表しています。
産地継続のためには、高齢化と「真剣に」向き合う必要があり、それは織元だけでなく、それを支える精練所や鍛冶屋さんなど含まれます。
私たちは今までの伝統を守るためには、守るための新しい取組も必要だと考えています。
そして、新しい取組をする際に大事にしたのは、今までの伝統領域・・和装への感謝です。
すなわち、支えてくれた取引先への感謝です。

新しい取組・・一つのやり方としては、流通の変革があると思います。
既存の流通経路をとび超え直接小売りをしお客様の声を聴き、自分たちがお客様に正しく販売できるようになる。
それも選択肢の一つでした。
でも、私たちは「3方良し」を目指したかった。

よって、今私たちが取り組んでいるのは、伝統の和装領域を直接的に変えるのではなく、
派生する別なものから、伝統をじわじわ変えていくのです。
それが革新素材の開発とそれにまつわる様々な挑戦です。

新素材開発で職人魂に火をつける ー職人の素晴らしさを伝えたい
モノづくりだけの脱却 ー未来創造型の機屋へ
新しいお客様との出会い ーshall we senka?
新しい五泉のブランドづくり
世界へ発信する和装(の生地)のすばらしさ

それらがもろもろ組み合わさり、キモノ文化の復興につながってほしいのです。
私たちの任せられている責任は、「良質で安心な白生地を作り続けること」です。
その領域で貢献したい、そこで研鑽をつみ続けながらも、3方良しを目指すのです。

5.国内最高の「繊維の町」である新潟県五泉市

新潟県五泉市は日本一のニット生産高を誇るニットの町です。
その前身は、江戸時代から続く絹織物。戦後、メリヤス業へ遷移し日本一のニット生産地へなりました。
しかし、ニットも海外生産に移りつつあり厳しい状態と聞いています。
ニットはOEM主体で高い技術力があっても認知はされていないのが現状です。
現在、多くのニット企業がOEMだけに頼らない自社ブランド立ち上げやコラボレーションにより、既存取引先と良好な関係を築きつつも五泉をPRしています。

絹織物はどうか。もっと知られていない。
和装の日本3大白生地産地と言われていますが、地元の人も知らない。
それはそのはず、何もしていない、のですから。
もちろん、良いものを作る、新しい織の生地を作る、など大切ですし、それはしています。
それで、衰退していく産業の何かを変えられればよいのですが・・。
私たちは、先陣をきって新しいことに挑戦し、結果何かムーブメントが起せればいいなと思っています。
周りから(若い人から)ニットだけでなく絹織物もあるんだ、頑張っているな!と思われるようになりたい、と思います。

色々と書きましたが、このような思いに共感してくださる方と出会い、2/4~6のギフトショーで発表して頂けます。
素材提供として、横正機業場の名前も出していただけました。
京都商工会議所のブース PROJECT-KYO-TO 内のPremium Textile Kyotoです。
和装の領域で、織と染の極みを目指したものが手を結び、新しい挑戦をするとても面白いプロジェクトです。
もしいかれた方は是非ご覧になってください。

 

 

ABOUTこの記事をかいた人

横野弘征

㈱横正機業場(YOKOSHO)専務取締役。新潟県五泉市で絹織物白生地製造を行っています。2013年に36歳でシステムエンジニアから兄と共に家業を継承するため転職。『伝統継承と革新への挑戦』がテーマ。製品(素材)の素晴らしさはもちろん、「100年企業」として培ってきた歴史を支えた職人さんこそが最大の商品として魅力を発信していきます。経済産業省認定 ITストラテジスト取得。